漫画「二月の勝者 第1集」の感想

読者の皆さんは「二月の勝者」という漫画はご存知でしょうか?

作者は高瀬志帆さん、週刊ビッグコミックスピリッツで連載中の中学受験をテーマにした漫画です。塾、親、子どもそれぞれの目線から中学受験が描かれています。東京の受験激戦区が舞台となっているため、地方の受験事情とは異なる部分も多いかもしれません。私自身の中学受験を振り返ると「中学受験あるある」だな〜と思える場面が多く出てきたので、興味深く読むことができました。

その一方で、今まさに受験に立ち向かっている六年生やその保護者からすれば、現実を直視したくないという意味では、読みたくない漫画になるのかもしれません。

お子さんの中学受験を考えている方・実際に経験された方、ご自身が中学受験を経験された方であれば、一読する価値のある漫画だと思います。

✳︎ここから先の内容は多少のネタバレを含みます。

 

 

君たちが合格できたのは、父親の「経済力」、そして母親の「狂気」

この印象的なフレーズから、「二月の勝者」は始まります。

中学受験をするような家庭は、おそらく大学受験も見据えているところがほとんどでしょうから、塾などの習い事の費用、中学〜大学までの学費等で莫大なお金がかかります。私が小学校から高校まで通っていた塾では特待生制度があったため、それに選ばれていれば、塾に対してはほとんどお金はかかりませんでした。少子化が進んでいる今時の塾事情はよく分かりませんが、特待生制度のようなものがなければ、塾の費用が家計に重くのしかかってきます。我が家のように3人も子どもがいて、全員が私立中学に通うようなことになれば、毎月15万円以上のお金がかかることが予想されます。まさに家計は火の車です。

一方で中学受験は親の力が重要であることはよく言われています。2018年の日本能率協会総合研究所の「受験生の母親を対象とした意識調査」によると回収サンプル1509件中、専業主婦の割合は40.2%で最も多いとのことです。子どもに時間をかけることができるのは受験においては大変有利ですが、距離が近すぎる分、子どもにとってはプレッシャーになるのかもしれません。

本作では冒頭で「母親の狂気」と謳ってありますが、読み進めていくと「父親の狂気」の方が色濃く描かれているように思います。

 

凡人にこそ中学受験

第一集では中学受験を考えている母親と子どもにサッカーを続けてもらいたい父親が描かれています。主人公である黒木先生が、プロサッカー選手として活躍できるのは約0.21%である一方、憧れの難関校に受かる可能性は10%であり、才能が必要とされる分野で活躍することの難しさよりも、勉強で得られるリターンの方が大きいと述べているシーンがあります。

故に凡人こそ中学受験をという話の流れなのですが、この場面で考えさせられるのは何故中学受験で習い事を中止するのが悪とされ、高校受験で中止するのが良しとされるのか・・ということです。この点に関しては、各家庭で様々な意見があると思います。

小学生の頃を思い返せば、友達が遊んでいるのに自分だけ塾に通っていることが羨ましかったです。友達やその親などから「勉強ばっかりしてかわいそう・・」と言われたような記憶もあります。「小学生が受験勉強のために週に何日も塾に通う」ことは異常なことに見えるのかもしれません。小学生はしっかり体を動かして遊んだり、スポーツをすることを良しとする・・・一言で言えば「子どもらしいことをすべき」という意見は一定数あるように感じられます。他の方が書いたブログ等を見てみると、小学校の担任の先生自体が受験に反対しているケースもあるようです。

ですが、本書にもあるように中高一貫校に通う場合、高校受験がなく、部活等に6年間打ち込める(大学附属校の場合は18歳での中断もないケースもある)というのは、私自身の経験からもとてつもないメリットだと思います。

結局、この父親は受験することを認めることになりましたが、そこに至るまでの葛藤が印象的です。

 「大きな夢を持って頑張れ」って、長年言ってきたのに、今更どうやって、「そろそろ現実見よう」って言える?みんなどうやって、「“夢”は“夢”でした」って受け入れられるんだ・・・?

もしかしたら俺は、誰かに代わりに言ってもらえて、ホッとしているのかもしれないな・・・

〜二月の勝者 第一集より引用〜

 

好きなことがある子ほど、受験をやめなくて良い

次の場面では、塾での授業中、ずっとボーッとしていて、テストも0点という子が出てきます。授業に集中できなかった理由が電車を眺めていたためという「鉄オタ」の子でした。

鉄オタであることを直前に把握した把握黒木先生との面談で、鉄道研究部のある中学校の存在を知ったことで受験に対するモチベーションが一気に高まり、中学受験を継続することになりました。鉄オタは地理分野や速度計算や旅人算に強い傾向があるとのこと。

この話を見て、中学時代の友人の鉄オタのことを思いだしました。彼は地理の知識が物凄く、何より色々と自分で調べて、知識を深めようとする姿勢に驚かされた記憶があります。彼は大学受験で早稲田大学政治経済学部に合格しましたが、大学の雰囲気が合わなかったようで、翌年慶應大学法学部を再受験し合格しました。

この鉄オタの生徒のエピソードを読んで、自分が中学受験をする際に「絶対にこの学校に合格するぞ!!」という強い意志を持って望んではいなかっただろうなと思いました。「二月の勝者」の言葉を借りれば、「受験を自分ごとにする」ことがとても重要です。これができる子は高くモチベーションを維持でき、成績アップが期待できるというわけです。

現在5年生の長女は、何となく志望校を決めているといった状態だと思います。なるべく早い段階で受験に対する明確な目標を見つけ、受験を自分ごとにするように親としては働きかけていかなければならないと思いました。

 

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