【本の紹介:アフターデジタル その①】すべてがオンラインになった世界のビジネスの在り方

2019年の消費増税にあわせて、キャッシュレス・ポイント還元事業がスタートしました。2020年6月までの短い期間ですが、最大で5%還元されるのは消費者にとって大変助かります。

しかしながら、スーパーマーケットやコンビニで見かける範囲ではキャッシュレス決済を利用している方は少なく、日本においてキャッシュレスが浸透するにはまだまだ時間がかかりそうです。

 

世界に目を向けてみると中国をはじめとして、一部の国ではデジタル化が進んでいます。書籍『アフターデジタル』では、デジタル化が進み、すべてがオンラインとなった世界でのビジネスの在り方が書かれています。

今の子どもたちが大人になる頃には、現在とは大きく異なった生活スタイルになっていると思われます。本著の内容はこれからの時代のビジネスを考える上で大変有益であり、子どもたちの職業選択にも影響すると思われたため、その内容を2回に分けて紹介していきます。

アフターデジタルとは

本著にはOMO(Online Merges with Offline)という概念が出てきます。直訳すると「オンラインとオフラインが融合する」となります。まえがきには以下のように書かれています。

モバイルやセンサーが偏在すると現実世界にオフラインがなくなり、「オフラインがデジタル世界に包含される」ようになります。そうした世界を私たちは「アフターデジタル」と呼んでいます。(中略)アフターデジタルの世界観は、あたかも「デジタルに住んでいる」ともいうべきもので、日本ではあまり認識されていません。

「アフターデジタル」まえがきより

アフターデジタルと対になる考え方がビフォアデジタルです。ビフォアデジタルの一例としては「普段実店舗で買い物をお客さんが、たまにネットショッピングをする」という感じでしょうか。

それに対してアフターデジタルは「買い物をするのはネットでも実店舗でも良く(オンラインとオフラインの融合)、都合の良い方を利用する(融合されたデジタル世界に住んでいる)」という状態です。

 

世界のデジタル化の状況

本著を読むと日本がいかにデジタル後進国かということを思い知らされます。それくらい世界はデジタル化が進んでいます。

2025年まで日本企業のデジタルトランスフォーメーションが進まなければ、12兆円にも及ぶ経済的損失が生じると言われています。デジタルトランスフォーメーションは蒸気機関車、電気エネルギー、コンピュータに次ぐ「データ産業革命」とも「第4次産業革命」とも呼ばれています。経営学者でマーケティングの大家、フィリップ・コトラーは「デジタル化するか、さもなくば死か」という名言を残しています。

 

世界で最も政府の電子化が進んでいる国はエストニアだそうです。エストニアは電子居住権「e-Residency」を発行しており、外国人でも簡単に「電子国民」になれます。エストニアでは行政のほとんどがデジタル化されており、国民のデータもオープン化されているとのこと。データのオープン化により、例えば強盗が起きた場合に急に所持金が増えた人をスクリーニングできるなど、犯罪抑止となるようです。

スウェーデンでは今日本で利用されつつあるQRコード決済ですら過去のものになろうとしています。今では人の体内にとても小さいマイクロチップを埋め込み、例えば改札口を通るときやショッピングの会計を行うときに手をかざすだけで支払いが完結するという状況になっているとのことです。

 

中国はインターネット人口が8億人を超え、そのうち97%がスマートフォンを持っており、さらに都市部ではその98%がモバイル決済を利用しているというキャッシュレス社会です。日本では多くのキャッシュレス決済方法が乱立しており、その分かりにくさからなかなか普及しない状況がありますが、中国ではアリババの「アリペイ」とテンセントの「ウィーチャットペイ」が主流となっています。

 

モバイル決済はすべての購買をIDデータ化する

モバイル決済では「あらゆる消費者の購買行動のデータが取れるようになった」ことが重要です。

 

モバイル決済により、どこで、何を、どのくらいの量、どのくらいの頻度で・・など、個人の購買に関する様々なデータを収集できます。

これまでであれば、例えば、Aという商品は「30歳代後半の男性に人気がある」というデータが収集できていました。しかし、この商品が不要な30歳代後半男性も多数存在することになります。Aという商品を買っている個人の購買行動のデータを収集することができれば、その個人にピンポイントでAに関連付けた商品を販売するためのマーケティングを行えるようになり、大変効率が良くなります。購入者としても、自分の好みに合った商品やサービスを紹介してもらえる可能性が高まります。

スマートフォンを利用していれば、検索履歴を活用しインターネット広告でこのような自分の好みに合った商品やサービスの紹介することは以前より行われています。

 

アフターデジタルにおけるマーケティングは何が違うのか。例えば、私が普段マクドナルドやスポーツジムをよく利用していて、趣味でMARVELのキャラクターグッズを集めているとします。これらを利用したり、買ったりする場合にモバイル決済を行うと購買行動データが蓄積されていきます。

私が5月のゴールデンウィーク後に東京に出張しすると仮定します。出張時に泊まるホテルをインターネットで予約するとそのデータも蓄積されます。ホテルまでに経由する駅や施設周辺を歩いている時にどこにマクドナルドやスポーツジムがあるとか、ホテル周辺の映画館で2020年5月1日からMARVELの新作映画「ブラック・ウィドウ」が上映されているという情報が通知される・・・これがアフターデジタルで起こりうるマーケティングではないかと思います。

 

まとめ

世界的にデジタル化が進んでいますが、日本ではようやくキャッシュレス決済が浸透し始めたところです。アフターデジタルという考え方を知ることで、今後世界がどのように変わっていくのか知ることができます。次回はデジタル化の進んだ中国の事例を紹介します。これを知れば何故日本でPayPay(ペイペイ)をはじめとするキャッシュレス業者が何百億円という莫大なキャンペーンを行い、何をしたいのかが理解できるようになると思います。

 

 

 

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